ある生徒さんの話です。
片手ずつから両手奏に入る時、私がゆっくりテンポをとりながらそして音符をさしながらレッスンをしていました。
すると「それを(テンポをとったり音符をさしたりしていること)しているとできない。」と怒りはじめました。
こういった事はたまにあります。(笑)
多分保護者の方がいらっしゃったら〝なにいってんの〇〇ちゃん(くん)〟と怒るかもしれません。
でも私はいいと思います。弾く事ができるならそういったことはしなくても良いことですから。
だから私は「わかった、じゃあしないから自分でやってみよう。」と言いました。
実際のところどうなったか…1小節も進みませんでした。
もちろんこれは予測してました。その生徒さんはなんと言ったか。
「やっぱりできない。」
よかったです。自分が今、できてない事がわかったんですから。
じゃあどうしようか?…ということで、私は話をはじめました。
ここからなんですよね、レッスンは。
私がその説明をしていたんです。テンポをとったり音符を差したりする訳を。
するとその生徒さんは全く違う話をし出し完全にそっぽを向いた状態になったんです。
さぁ!ここからです、レッスン本番は。
「話を聞かないならもうしない!楽譜はしまってください!…レッスン終わり!」と少し大きな声ではっきりと言いました。
すると生徒さんはびっくりした表情でもう一度楽譜を開きはじめました。そして私はその子に、なぜ大きな声を出したのかを話しました。
これがどういうことか。多分その子は嫌なんです、できないとわかる事が。自分ができなくて悔しい思いをすることを避けているんです。
でもそれでは乗り越えられません。ピアノだけでなくなんでもそうです。
できないをできるようにするには『できない』事を受け入れないといけません。それはある意味悔しいことですが、小さなうちに『小さなできない』を少しずつ受け入れて『小さなできた』をたくさん作って『大きなできた』になるような精神力を持って欲しいと思っています。
これは本当に大切な事だと思います。そして私が大きな声でその子を叱った事、ご理解いただけたらありがたいです。
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